昔々、あるところに
山梨県の奥深く、木曾山脈と奥飛騨山脈の境目にある、地図にも載っていない村──、いや、村というより、場所、があった。
そこに一人の少年がいた。
名前はちんこ太郎、人呼んでまんこ花子という通り名だった。
人はその少年をこう呼ぶ。
東大阪のマルハッチンと──。
時は過ぎ2573年。
地球はまだ生きていた。
人類は自在に空を飛び時空を越えやりたい放題の嵐だった。
そして夜も更けた頃、カツ丼食って寝る、それがモダンガールのポリシーと化していた。
電卓を打ち、キーボードを打ち、麺を打ち、ボールを打ち、時には鞭で打たれ、人生は終わる。
人生とはなんだろう。
その答えが、ここにある。
ラグビーボール型の浮遊マンションが常識となり、無重力空間発生装置で人々は自由に空を飛ぶ。
ブレスレット型、リストバンド型、ネックレス型、帽子型、天使の羽型、タケコプター型、いろいろあるが性能は同じ。
装着した人間の年齢、性別、体力、あらゆるデータを読み取り、適切な速度、最大高度を設定する。
1個500円で、1年経ったら必ず壊れる。壊れないようにできるが、それだと儲からないので。
亜空間発生装置をとりつけ、小さな入り口、小さな建物、しかし中はとてつもなく広い。
これをあらゆる物に応用した。
車、家、ラブホ、マンション、アパート、コーポ、分譲マンション、ビル、警察署、駅、電車、飛行機etc…
見た目は小さい家も、なかに入ると大変、ひろい。
銀河鉄道は太陽系を一周する旅客列車で名を馳せた。
およそ3時間ほどの旅。
月に火星にタイタンに冥王星に海王星に太陽系をあますことなく旅する。
3時間の遊覧で一人5,000円。
銀河航空は、天の川銀河をあますことなく旅できる。
こちらは1週間ほどかかる。
料金は3万円から10万円くらい。