No.0 07/01/30(火) 01:11:04

今を生きる

一会

ジャンル:人間ドラマ?
第二作目
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  • No.1  07/01/31(水) 01:52:44
    第一回
         _
    今日、俺はタヒぬ

    自らの意志で

    あらゆる宗教はジサツを罪だと言う
    無宗教な人間にとっては無であり終わりだと言う

    どちらにしても
    恐怖である事に変わりはないだろう

    だが、

    俺はジサツする…。
  • No.2  07/02/01(木) 00:15:29
    第二回

    どうやら俺は人と違うらしい。
    すべて人は違うのだろうが、根本的になにかがずれている

    俺は人を愛せない

    いや…、愛の意味がわからない?

    愛したいのに愛せない?

    愛する事が恐いのか?

    裏切られる事が恐いのか?

    愛されないから愛せない

    愛さないから愛されない?
    くだらない
    俺は人が嫌いだ

    そして、自分が大嫌いだ

    だけど
    人が好きだ

    それより自分が大好きだ

    そんな自分が大嫌いだ‥

    もぅ、いいだろう……
    普通に働いて
    普通に過ごして

    もぅ、十分だろう……
    _
    タヒまでこれが続くだけだ

    その間ずっと自分を責め続ける人生

    終わりにしよう

    その方が世界の為にもいい。
    とんだ言い訳だな…
  • No.3  07/02/04(日) 01:15:06
    第三回

    それだけが
    理由というわけではない

    絶望したこの世界で生きていく事
    それが俺にとって最大の苦痛であり
    地獄に等しい

    否、地獄そのものだ

    屋上は風が強く
    まだ、少し寒い……

    町は人工の灯りで
    鮮やかに色付いているが

    空は星一つなく
    ただすべてを呑み込む闇

    下に広がる"星"に飛び込み
    空に広がる闇に呑み込まれる
    そして、俺は
    自由になれる
  • No.4  07/02/05(月) 21:37:17
    第四回

    目をつぶり
    闇に身を染める…‥

    静寂が心まで広がる




    ……

     _
    『タヒぬつもりか?』

    思わぬ声で静寂は崩された

    『誰だっ!?』

    動揺しながら振り返ると

    白髪・黒服
    20代後半くらいだろうか

    男が煙草に火をつけていた
  • No.5  07/02/10(土) 23:47:32
    第五回

    その姿を観た瞬間
           _
    俺を迎えにきたタヒ神
    に思えた。
        _
    『どうせタヒぬなら
    ちょっと付き合えよ』

    その男は質問にも答えず
    強引に俺を捕まえる

    俺『なっ!離せよ!』
    振り払うとしたが
    男の力の方が強かった

    男『少しだけだからさぁ、別に今じゃないと駄目ってわけじゃないだろ?』

    男『な?暇なんだよ』

    めちゃくちゃな話だが
    結局その男についていくことになってしまった。
  • No.6  07/02/13(火) 01:26:23
    第六回

    下に降りると
    停めてあった黒い車に男は乗り込み
    助手席のドアを開けた

    BMW
    古いドイツ車だ
    まあ、容姿かりしてまともな職業の人ではないと感じていたが

    車の中は
    なにか独特な香がした

    でも、嫌味な香ではない

    男『BGMなにがいい?』

    俺『……いや、なんでも』
    ……
    ドッド!ドッド!

    スピーカーから大音量でロックが流れてきた

    男『♪』

    車はハイスピードで町を流れていく……

  • No.7  07/02/17(土) 20:52:28
    第七回

    窓は全開だ
    風が顔を叩く

    外の景色は
    だんだんと鮮やかになってきた

    住宅街から歓楽街の方へと移動している様だ

    町を眺めていると
    何だか淋しい気分になってきた。

    …‥

    ドンッ!
    思いふけって居ると
    車は停まって
    男が車を降りていた

    男はこっちを見て
    降りる様に目で言っている

    俺は慌てて降りた
    ん?なんで慌てなければいけないのか
    よくよく考えればそうなんだが
    なんとなく男のペースに巻き込まれている

    ¨〇〇ホテル¨
    此処が目的地だったらしい
    俺や一般人には縁のない高級ホテルだ

    男はサッサッと入っていく
  • No.8  07/02/28(水) 00:51:52
    第八回

    豪華で華やかで
    それでいて
    落ち着いている雰囲気

    今までの自分の世界とは
    空気がまるで違う

    男はフロントに立ち寄り
    奥に向かっている

    ホテル内のレストラン

    男と俺はその一席に腰をおろした
    メニューを開き

    男『なにか嫌いな物はあるか?』

    こんな処で食事なんてした事もないし
    なにがあるかもわからない
    俺が黙っていると

    男は慣れた感じに
    注文を終えた


    慣れない場所に
    よくわからない男
    そして沈黙

    まったくこの男がなにをしたいかが読めない

    そんな状況に押し潰されそうになっていると

    料理がテーブルの上に届いた

    同じ料理が二人分

    見た目からして
    何時もの食事では考えられない様な豪華な料理だ

    男『腹減ったよ、早く喰おうぜ』

    ガンガンと食事を進める男に言われるがまま
    俺も口にする

    俺『おいしぃ!』
    その味に思わず声がでてしまった

    それを聞いた男は嬉しそうに
    男『だろ〜!、でもなぁ、メインの鴨はさらに絶品だぜ♪』

    その言葉を聞いて鴨への期待とともに
    何故?
    という最大の疑問が膨らんでいく…
  • No.9  07/03/13(火) 22:24:04
    第九回

    新手の自サツSTOP運動か?
    善意か?
    はてまた、なんらかの意図があるのか?
    なんにせよ、スッキリしない
    ハッキリさせよう…

    俺『ぁ…』

    男『お!鴨来たぜ』

    男の言葉にかき消された
    タイミングが悪かったか

    男『ほらほら、食えよ』
    男に煽られ食事を進める

    確かにうまい!
    否、今までに食べたことがない!
    想像を超えた味

    あまりの美味しさに
    すべてが包まれた

    男は食事中
    俺の反応に嬉しそうに
    料理の説明やら
    世間一般の話題やら
    まぁ、とにかくよくしゃべった。
    食後のコーヒー

    男『やっぱ食事は人とするもんだな、一人じゃ味もうせちまぅ』


    人の自サツを止めた理由が
    まさか、それ?

    な、わけないよな?